皆さん、こんにちは。
「ジョークで学ぶアラビア語」第30回です。
今日はイエメンのジョークです。
まずはアラビア語で読んでみましょう。
!!ثلاث دول عربية من غير رئيس
تونس ، الجزائر ، السودان
و اليمن فيها ثلاث رؤساء
عبدربه ، المشاط ، عيدروس
翻訳は次のとおりです。
(日本語として自然にするために、適宜言葉を補完したり、意訳していることがあります。)
今、アラブ諸国では3つの国で大統領が不在である。
チュニジア、アルジェリア、スーダンだ。
一方、イエメンでは、
アブドゥラッボ、アルマシャート、アイダルース、
3人の大統領がいる。
これは、アラブ諸国の政情をご存知ないとあまり面白くないかもしれません。
ジョークを解説するほどナンセンスなことはないと思いますが、一応、ここはアラビア語を学ぶためのサイトなので敢えて、説明させていただきます。
チュニジアでは最近、92歳の大統領が急逝したため、間も無く大統領選挙が行われる予定です。アルジェリア、スーダンでは今年4月に大規模な民衆デモの結果、長期政権がそれぞれ打倒されました。(なお、チュニジア、アルジェリアには一応、暫定大統領がいます。)
さて、現在戦争中のイエメンでは、もともと戦争が始まった2015年の時点でアブドゥラッボ・マンスール・ハーディー(عبدربه منصور هادي)という大統領がいました。
それとは別に、前年に首都サナアを制圧した「アンサールアッラー(أنصار الله)」と言う組織(通称「ホーシー派」)が擁立したマフディー・アルマシャート大統領(مهدي المشاط)がいます。
ハーディー大統領はサナアを追われた後、第2の都市アデンに逃れ、サウジアラビアなどの支援を受けながら、政権を維持していたのですが、ここでもつい最近、南部地域の分離独立を目指すグループによるクーデターが起き、その組織のリーダー、アイダルース・アッズベイディ(عيدروس الزبيدي)が大統領であると新たに宣言してしまいました。
そんな状況をジョークにしたもので、まさに「旬のネタ」でした。
登場した単語は次のとおりです。
<単語>
دول عربية(ドゥワル・アラビーヤ):アラブ諸国
من غير(ミン・ガイル):〜がいない
رئيس(ライース):大統領(単数)
رؤساء (ルアサー):大統領(複数形)
いかがでしたでしょうか。
今日のジョークはイエメン人の友人からメールで送られてきたものです。本当に笑い事ではないほど混沌とした状況なのですが、「もうわけがわからない。笑うしかないよね・・・」と言っていました。
イエメン人はそもそもジョークが大好きです。戦争が始まってからも空爆やそれぞれの戦争当事者をネタにしたジョークが次々に生み出されており、私のところには友人達から次々に「新しいネタだよー」と送られてきます。
正直、あんまり面白くないものも多いのですが・・・。
このような悲惨な状況でもジョークにしてしまうイエメン人の逞しさにはいつも感心させられています。1日も早く戦争が終わってほしいと願うばかりです。
それでは今日はこの辺で。マアッサラーマ!