こんにちは。😀
今日はイスラーム以前の時代の暴君が言い放ち、後に諺として使われるようになった言葉をご紹介します。
جَوِّعْ كَلبَكَ يَتبَعْك
(ジャウウィウ・カルバカ・ヤトバアカ)
(※文法用語がよくわからない人は、ここはさらっと流しましょう。)
ジャウウィウ(جَوِّعْ):動詞「飢えさせる(جَوَّع)」の命令形
カルバカ(كَلبَكَ):あなたの犬( كَلبٌ +人称代名詞 كَ )。ここでは対格なのでカルブの語尾がファトハ。
ヤトバアカ(يَتبعْك):彼はあなたに従う(動詞:تبع)※口語ではヤトバアックと発音
直訳すると「あなたの犬を飢えさせておきなさい、そうすれば彼はあなたに従うだろう」という意味です。ここでの「犬」とは「自国の民」を表しています。
この諺の基になったお話と、使い方は以下のとおりです。
ヒムヤル王国の悪い王様の話
昔々、イスラーム以前のお話です。現在のイエメンの地で栄えたヒムヤルحمير王国という国がありました。
ヒムヤルの国王は大変な暴君であり、人民の貧困をよそに自分の欲望のままにお金を使ったり、暴力をふるったりしていました。
占い師كهنةが「あなたはいつか民に殺されるでしょう」と何度言っても、関心を示しませんでした。
ある時、妻(女王)が民の訴えを耳にして、「私はあなたが民の貧困を気にも留めないلا تباليことが心配です。今は私たちに従っている民も、いつか猛獣に変身するかもしれません」などと言い、王を諭そうとしましたが、全く聞く耳を持ちません。
この時、国王が言い放ったのが、「犬は飢えさせ従えよجوع كلبك يتبعك」という言葉です。
「民衆を満腹状態になどしたら言うことをきかなくなるだろう」というのが王の考えでした。
厳しすぎる政策は失敗する
国王は戦争で民を戦わせ、勝利したにも関わらず、獲得したغنم戦利品を人々に一切わけ与えませんでした。不満を募らせた民衆は王弟のところへ行き、王の横暴ぶりを訴えました。
「我々が王を殺すのに協力するならば、あなたをその座につけましょう。協力しないならば我々はあなたの一族に対して反乱を起こし、別の一族の者を新たな王にするでしょう」と脅しました。
王弟は兄の暴君ぶりを知っていたので民に協力すると答え、民衆は王に一斉に襲い掛かって殺してしまいました。
満足な食事を与えられない犬は主人をも食らうことがある、ということです。
これ以降、民衆から厳しく搾取しすぎる政策は成功しないことのたとえとして、また、「まずい統治手法」を批判する際などに、この諺が使われるようになりました。
以下は使い方の例です。
". سياسة الملك هي "جوع كلبك يتبعك
ولكن الشعب لن يصمت اكثر
その国王の政策は「犬を飢えさせ従わせよ」である。
しかし、民衆はこれ以上黙っていないだろう。
いかがでしたでしょうか。
ここまで5つの諺をご紹介してきましたが、誰かが殺されて終わるお話が多いような気がしますので、次はもっと穏やかなのを探そうかなと思います。😅
参考にした記事はこちらです。قصة جوع كلبك يتبعك
また、You Tubeの動画も見つけましたので 、音声を聞きたい方はこちらもどうぞ。