こんにちは!今日は方言についての話題です。
正則アラビア語で「今」(Now)を表す言葉は、الآن(アルアーン)です。
もちろん「アルアーン」でどこの国でも通じるのですが、日常会話、口語表現では国、地域によってそれぞれの方言があり、多様な表現の仕方があります。
私が知っているだけでも、
イラク:هسة(ハッサ、ヘッセ)
スーダン:هسع(ハッサア)
レバノン、シリアなど:هلا(ハッラー)
エジプト:دلوقتي(ダルワアティ)
アルジェリア:درك / دروك(ドゥルーク、ドゥルク)
サウジアラビア:دحين / ذحين / ذالحين /هالحين(ハルヒーン、ザルヒーン、ザヒーン、ダヒーン)
イエメン:ذالحين(ザルヒーン)
といった具合です。ぱっと見、全然違いますね~。
なんでこんなに国によって違うのかな~と不思議に思っていたのですが、
たまたま読んだ個人の方のブログ記事で
「ほとんどは2つの単語から成り立っている」との説明がありまして、
なるほど~と納得しましたので、ご紹介したいと思います。
参考記事のURLはこちらです。
イラク方言
たとえば、イラクの場合には、
هذه الساعة(ハージヒッサーア:この時間)という2つの単語が、
↓
هالساعة(ハッサーア)と省略され、
↓
هسه (ハッサ)とさらに省略された、というわけです。
スーダン方言の هسع (ハッサア)もほぼ同じだと思います。
レバノン、シリアなど
続きまして、レバント周辺地域(レバノン、シリア、ヨルダン、パレスチナ)の場合は、
هذا الوقت(ハーザルワクト:この時間)
↓
هالوقت(ハルワクト)
↓
هلّق(ハッラク)
↓
この辺の地域ではカーフ(ق)の Q音が抜け落ちることが多いので、
هلا(ハッラア)となります。
エジプト方言
エジプト方言も同じような感じです。
こちらの方はスペルを見ると、وقت(ワクト)という言葉がそのまま残っているのでわかりやすいです。
هذا الوقت(ハーザルワクト/ハーザルワアト)
↓
ذالوقت(ザルワクト/ザルワアト)
↓
دلوفتي(ダルワアティ)
エジプト方言でもカーフ(ق)の Q音が抜け落ちます。
アルジェリア方言
アルジェリア方言は一見、かなり変形していますが、たぶんこんな感じかと。
هذا الوقت(ハーザルワクト)
↓
ذالوقت(ザルワクト)
↓
دالوكت(ダルワクト)
↓
دروك(ドゥルーク)
《2019/1/12追記》
と思っていたのですが、後日見つけた別の記事によれば、アルジェリアの「ドゥルク」はベルベル語(アマジグ語)が語源のようです。嘘ついてすみません。🙇♀️
サウジアラビア方言、イエメン方言など
サウジアラビア方言でも、色々な言い方がありますが、これら全部が هذا الحين から来ています。
هذا الحين(ハーザルヒーン:この時間)
↓
هالحين(ハルヒーン)もしくは、ذالحين(ザルヒーン)となり、
↓
ذحين(ザヒーン)、دحين(ダヒーン)
イエメンも ذالحين(ザルヒーン)、دالحين(ダルヒーン)がサナアあたりでは使われています。
ちなみにモロッコ方言で دبا (ダバー)という言葉がありますが、これの成り立ちは・・・・ちょっと調べてみたんだけどよくわかりませんでした。これもベルベル語かな??
その他のここにない方言も、ご存知の方いらっしゃいましたら、どうぞ教えてください。
いかがでしたでしょうか?
ここではかなり大雑把にイラク方言、アルジェリア方言などとご紹介していますが、当然ながら、実際にはどの国にも地方それぞれでさらに多様な方言があります。
ご紹介しているものの多くは主に首都などでよく使われている表現が中心となっています。
それでは本日はこの辺で。
マアッサラーマ!おやすみなさい!