今日はイスラーム教の宗教行事「アシュラ」について書きたいと思います。
アシュラعاشوراءはヒジュラ暦التقويم الهجريの1月に当たるムハッラム月المحرّمの10日目のことです。
昨日、一昨日あたりがちょうどそれに当たる日でした。
では、「アシュラって何?」という方に、イメージが湧きやすいように、まずは動画を1本ご紹介します。
こちらはイラク南部の町バスラの昨日の様子です。
©Al-Mirbad
一見、日本のお祭りのように楽しそうに見えるのですが、実はこれはイスラーム教シーア派الشيعةの人々が尊敬するフセインという人物の殉死を悲しむ追悼行事なんです。
フセインالحسين بن عليという人物は預言者ムハンマドの孫حفيد النبي محمدです。
西暦680年、ヒジュラ暦61年のこの日にイラク南部のカルバラーの戦いمعركة كربلاءでウマイヤ朝الدولة الأمويةの軍隊に殺害されました。
シーア派市民の多い国、地域では毎年、この日の前後にフセインの死を悼んで、上の動画ような行列を行います。
男性たちが鞭だか鎖のようなもので自分の体を打ち続けて、フセインの痛みを追体験し、哀悼するということです。よく見ると背中が赤くはれている人もいて結構痛そうです。。
また、フセインが殉死した際の状況を再現するお芝居も行われます。
©Al-Mirbad
こちらもイラクのバスラです。学芸会っぽいノリです。笑)
こうした行事や宗教劇をやるのはほとんどは男性ばかりで、少し離れたフェンスの向こうで黒服の女性達が熱心に鑑賞しています。
国によって詩の朗読会や、お神輿のようなものを担ぐところもあるそうです。
シーア派地域のあちこちで行われているこうした一連の宗教行事・追悼行事をアラビア語でタアジーヤتعزيةと呼びます。
シーア派の大国と言えばイランですが、このブログはアラビア語ブログなので、イラクのアシュラの様子を取り上げてみました。
アシュラは、イラン、パキスタン、レバノン、バハレーン、インド、イラク、アルジェリアなどの国では、公休日عطلة رسمية になっています。
さて、ここまではシーア派とアシュラについて書きましたが、スンニ派のムスリムはこのタアジーヤの行事はやりません。
スンニ派にとっては、この日は断食صيامを行う日となっています。
これはイスラーム法的にはやらなくても神様に怒られることはないけど、やったら褒められるというもので、アラビア語ではムスタハッブمستحبّ[好まれること]といいます。
いかがでしょうか。話だけ聞いてもピンと来ないかもしれませんが、動画で見ると少しはイメージが湧いたのではないでしょうか。
関連の単語帳も作成しましたのでどうぞ。
▶参考資料:Wikipedia「عاشوراء」
シーア派についてもっと知りたい方はこちらの本もおすすめです。